えみねむ
イギリスでフリーランスとして働きたい。何のビザを取ればいいの?日本にいても申請できる?
そんな方に向けて書いています。
この記事で、次のことがわかります。
- イギリスでフリーランス(個人事業主)で働けるビザ4種類
- ビザなしでの6ヶ月以下の滞在の場合のフリーランス活動
今回、イギリスでフリーランスをするためのビザについて読者の方よりご質問をいただきました。
イギリスでフリーランスをする時の入国後の手続きについてはすでに他の記事でご紹介しましたが、今回はフリーランスができるビザを全種類まとめています。
2018年の春からイギリス在住で、起業も経験した私が徹底的に調べました。
海外で、特にイギリスでフリーランスをしたい方は必見です。
イギリス滞在のビザ申請が終わったら、イギリスでフリーランスの登録〜確定申告の手続きを写真付で解説を参考に手続きしてみてください。
フリーランスにこだわらず、とにかくイギリスに移住したい方は、イギリスに移住する方法とメリット・デメリット【完全保存版】をご覧ください。
えみねむ
イギリスに移住したいけど、ビザとかお金とか、色々不安…
イギリスに移住して4年を超える私が、あなたの疑問に全て答えます!
※この記事に掲載している情報は、2022年3月時点で調べた情報に基づいています。ビザの条件などは変更されることがあります。必ずイギリス政府の公式サイトをご確認ください。本記事の内容や翻訳の内容に基づいて行動した結果損害が生じても、当サイトは責任を負いません。
※ビザ申請に必要な書類は、申請者の状況によって大きく異なります。実際のビザ申請の際は、弁護士などの専門家に相談することを強くおすすめします。
目次
イギリスでフリーランス(個人事業主)で働けるビザ4種類
イギリスでフリーランス(個人事業主)で働けるビザは、実は4種類もあります。
もちろん、どのビザも全ての方が申請できるビザではありません。
申請資格を満たすかどうかと、ご自身の状況によって決めてください。
- YMSビザ(ワーキングホリデービザ)
- スケールアップ・ワーカー・ビザ
- ハイ・ポテンシャル・インディビジュアル(HPI)ビザ
- グローバルタレントビザ
イギリス年金制度 日本人向け完全ガイド
YMSビザ(ワーキングホリデービザ)
仕事のオファーがなくても移住でき、フリーランスができる自由度が魅力のYMSビザ。
もちろん、これからビザの申請を希望する人は、ビザに申請できるかどうかが抽選により決まります。
抽選に落ちれば申請できません。
ビザの抽選の時期が1月と7月などと決まっています。
それでも、18歳から30歳までの人で、フリーランスで働きたい人にはYMSビザが圧倒的におすすめです。
なんと言っても年齢以外の申請資格が幅広く、ほとんど誰でもビザを申請できるからです。
YMSビザの申請資格
YMSビザの申請資格は、以下の通りです。
- 18歳以上30歳まで
- 2,530ポンドの貯蓄があること
- 特定の種類の英国籍、または資格要件に記載されている特定の国・地域出身であること。
日本の場合は、抽選で年間1000人に選ばれた人が申請できます。
YMSビザには、申請できない人の資格も次のように明記されています。
- 同居している18歳未満の子供がいる
- 扶養している子供がいる
- すでにYMSでイギリスに滞在している
年齢的に可能な人は、ぜひ挑戦してみましょう。
私も初めはYMSでイギリスに移住しました。
YMSビザの申請費用
- 申請手数料(£) £259
別途NHSの保険料がかかります。
YMSビザの申請の際に口座に必要な資金
- 口座に必要な資金(£) £2,530
YMSビザでできること
- 研究(一部のコースでは、Academic Technology Approval Scheme証明書が必要)
- ほとんどの仕事で働く
- 自営業や会社を設立する(敷地は賃貸で、備品は5,000ポンド(約65万円)以下であり、従業員がいない限り可能)
イギリスでの起業も視野に入れている人は、イギリスで起業する手続き【ワーホリビザ(YMS)でも可能】を参考にしてください。
YMSビザでできないこと
- プロのアスリート(コーチなど)、医師、歯科医として研修する(イギリスでの資格を証明できる場合を除く)
- 滞在を延長する
- 公的資金を得る
- 家族を連れてくる(家族は別々に申請が必要)
ハイ・ポテンシャル・インディビジュアル(HPI)ビザ
ハイ・ポテンシャル・インディビジュアル(HPI)ビザは、世界のトップクラスの大学を過去5年以内に卒業した人が申請できるビザです。
最低2年間、PhDや博士号取得者は3年間滞在でき、フリーランスとして活動できます。
非常に条件はいいですが、当然ながらトップクラスの大学を卒業していないと申請できません。
そのため、申請できる人は限られると思います。
具体的には、過去5年以内に対象大学で学位、学士号、博士号の資格を取得したことが条件です。
つまり、世界的に有名な大学を出た優秀な人にきてもらうためのビザだといえます。
2022年11月からの対象の大学リストには、日本では東京大学と京都大学のみが入っています。
イギリスの大学は対象にならないのでご注意ください。
HPIビザの申請資格
対象大学一覧は、世界中の大学のランキングがもとになっています。
注意したいのが、「資格を取得した月と年の」対象大学一覧に入っている大学が対象となっていることです。
また、申請者の資格も、イギリスの学位、学士号、博士号と同レベルの資格が必要です。
他にも、対象大学の卒業資格を満たしていても、申請できないケースがあります。
HPIビザを申請できない場合は以下の通りです。
- すでにHPIビザでイギリスに滞在した場合
- すでに卒業生ビザを取得している場合
- すでに博士号取得延長制度(Doctorate Extension Scheme)の学生としてイギリスに滞在している場合
HPIビザの要件に当てはまる対象大学
自分が卒業資格を取得した年月の対象大学を確認してみてください。
HPIビザの申請費用
- 申請手数料(£) £715 + £210/252※
※Ecctisによる資格の有効性チェック料金。イギリス国内から申請する場合は£252。
別途NHSの保険料がかかります。
HPIビザの申請の際に口座に必要な資金
- 口座に必要な資金(£) £1,270
有効なビザでイギリスに12ヶ月以上滞在している場合は、この条件は免除されます。
HPIビザでできること
HPIビザで、以下のことができます。
- ほとんどの職業に就く
- 仕事を探す
- フリーランスをする
- パートナーや子供とイギリスで生活する(滞在資格がある場合)
- ボランティア活動をする
- 海外に旅行し、イギリスに帰国する
HPIビザでできないこと
HPIビザでは、以下のことはできません。
- ほとんどの給付金(公的資金)の受給、州年金の申請
- プロスポーツ選手として働く
- ビザの延長
- 永住権の申請
HPIビザでの就学
HPIビザで就学できるのは、選択したコースが学生ビザの対象でない場合のみです。
学生ビザが取得可能なコースの場合は、学生ビザを申請するか、既に学生ビザをもっている場合は延長できます。
デリケートなテーマの研究をする場合は、Academic Technology Approval Scheme (ATAS)の証明書が必要な場合があります。
グローバルタレントビザ
グローバルタレントビザは、芸術系の分野の専門家としてイギリスに滞在できるビザです。
最長5年間滞在でき、自由度が非常に高いビザです。
優れた芸術や技術を呼び込むためのビザといえます。
申請者の専門分野が以下の分野に当てはまる場合は、検討してみましょう。
- 総合芸術、舞踊、文学、音楽、演劇、視覚芸術
- 建築
- ファッションデザイン
- 映画およびテレビ(アニメーション、ポストプロダクション、視覚効果を含む)
ただ、誰でも専門家を名乗ることはできてしまうので、自分がその分野のリーダーあるいはリーダー候補であることを証明する必要があります。
そこで、「エンドースメント」といって、分野の専門組織から賛同をもらいます。
3通の推薦状と才能を示す書類も必要です。
もし、自分の技術がトップクラスだと思う人や、特定の賞を受賞している人、業界に認識されている人は挑戦すべきでしょう。
グローバルタレントビザの申請資格
お伝えした通り、分野の専門組織から賛同をもらう必要があります。
対象となる詳しい分野のリストは、以下で確認できます。
また、リストに載っている賞を受賞している人は、申請の必要がありません。
賞を受賞したことのある人は、確認してみましょう。
言語や最低給与などの資格要件はありません。
グローバルタレントビザの申請費用
- 申請手数料(£) £608
別途NHSの保険料がかかります。
エンドースメントの賛同を得て申請する場合、エンドースメント申請時に456ポンド、ビザ申請時に152ポンドと2回に分けて支払います。
賞の受賞をもとに申請する場合は、ビザ申請時に608ポンド全額を支払います。
グローバルタレントビザの申請の際に口座に必要な資金
口座に必要な資金(£)はありません。
とはいえ、移住してすぐに家を借りる際など色々と生活費がかかります。
お金は多めに準備するに越したことはありません。
イギリス移住にあたってかかる費用については、イギリス移住費用完全まとめ!内訳・費用の節約方法も紹介をご覧ください。
グローバルタレントビザでできること
グローバルタレントビザでは、以下のことが可能です。
- 最長5年イギリスに滞在する
- 従業員、フリーランス、会社の取締役になる
- 内務省に断りなく仕事を変更したり、やめたりする
- パートナーや子供を「扶養家族」としてイギリスに呼ぶ(扶養家族としての資格がある場合)
- 海外に渡航し、イギリスに帰国する
滞在延長の資格条件を満たしていれば、何度でもビザを更新することができます。
また、3年間か5年間の滞在で、永住権の申請もできます。
永住権の申請ができる滞在期間は、分野と申請方法によって決まります。
イギリスでの起業も視野に入れている人は、イギリスで起業する手続き【ワーホリビザ(YMS)でも可能】を参考にしてください。
グローバルタレントビザでできないこと
グローバルタレントビザでは、以下のことができません。
- ほとんどの給付金(公的資金)の受給、州年金の申請
- スポーツ選手として働くこと
他のビザと比べても、グローバルタレントビザは非常に自由度が高いことがわかります。
スケールアップ・ワーカー・ビザ
スケールアップ・ワーカー・ビザとは、急成長しているイギリス企業で働く場合に申請できるビザです。
えみねむ
「イギリス企業で働く」って、私、フリーランスがしたいんだけど。
と思われたかもしれませんが、ご心配なく。
このビザをフリーランスができるビザとして挙げているのは、滞在開始から6ヶ月後にフリーランスとして働けるからです。
YMSビザ以外で、他の2つ(HPIビザとグローバルタレントビザ)に比べると理論上は、実は比較的申請しやすいビザと思われます。
幅広い業種が対象になっているためです。
ただし、就職先からのスポンサーが必要です。
2022年11月現在では、スケールアップワーカービザをスポンサーする企業がリストに1つもありません。
このビザを申請できるとすれば、初めからスケールアップワーカービザをスポンサーしている企業から就職先を選ぶことはできない状況です。
代わりに、就職先を先に探して、その企業にスケールアップワーカービザをスポンサーできるかを聞いてみることになるでしょう。
もちろん、その企業が他のスケールアップ企業の要件に当てはまっていることが前提です。
もしかしたら今は、「スケールアップ企業」の要件に当てはまり、実際にスポンサーを提供するところがなかなかないのかもしれません。
というわけで2022年11月現在は簡単には申請できないかもしれません。
今後はスポンサーの資格をもつ企業が増えることを願って、フリーランスができるビザリストに入れておきたいと思っています。
スケールアップワーカービザの申請資格
- 申請者の仕事がこのビザの対象であること
- イギリス内務省に認可されたイギリスのスケールアップビジネスに従事すること
- 給与条件を満たしていること
- スポンサーとなる仕事に少なくとも6ヶ月間従事すること
スケールアップワーカービザの給与要件
スケールアップワーカービザの申請資格の一つに給与要件があります。
以下の3つの選択肢のうち、最も高い金額を支給する必要があります。
- 年間33,000ポンド
- 1時間あたり10.10ポンド
- 就職する職種の「現行相場」
各職業コードには、それぞれ年間の現行相場が設定されています。対象となる職業の表で、自分の仕事の相場を確認してください。
例:
申請者が受け取る給与は年間£34,500ですが、申請者が行う仕事の年間賃金が£36,000である場合:申請者の給与は、申請者の仕事の年間平均給与(36,000ポンド)より低いため、このビザの給与要件を満たしません。
スケールアップワーカービザの就職先の要件
スケールアップワーカービザの申請資格には、就職先の要件もあります。
まず、就職先の会社は、申請者をスポンサーする資格がなければなりません。
会社がスポンサーしてくれる場合、ビザの手配や費用を会社が負担してくれます。
スポンサー資格のある企業の表の「Route」欄に「Scale-up Worker」と書かれている企業が、このビザをスポンサーしてくれます。
先ほども触れたように、この「Scale-up Worker」と書かれている企業が2022年11月現在では1つもありません。
また、会社が資格のある急成長企業(「スケールアップ企業」とも呼ばれる)でなければなりません。
この「スケールアップ企業」に選ばれるためには、スケールアップワーカーのスポンサーを内務省に承認される直前の3年間に、以下を行うことが必須です。
- 雇用または売上高のいずれかが毎年平均20%ずつ増加していること
- 3年間の開始時点で従業員数が10人以上であること
スポンサーシップ証明書を取得してから3ヶ月以内にビザの申請が必要です。
スケールアップワーカービザの申請費用
- 申請手数料(£) £715
スケールアップワーカービザの申請の際に口座に必要な資金
- 口座に必要な資金(£) £1,270
ただし、口座にこの資金を準備しなくて良い場合もあります。
以下のいずれかに該当する場合は、申請時にその証明書を提示する必要があります。
- 有効なビザでイギリスに12ヶ月以上滞在している場合
- イギリスでの最初の1ヶ月間の費用を、1,270ポンドを上限に雇用主が負担してくれる場合
スケールアップワーカービザでできること
スケールアップワーカービザでできることは、次の通りです。
- 少なくとも6ヶ月間、スポンサーとなる仕事する
- 6ヵ月後、スポンサーを務めた仕事を辞める
- 学校に通う
- パートナーや子供を「扶養家族」としてイギリスに呼ぶ(扶養家族としての資格がある場合)
- フリーランスを含む副業をする
- ボランティア活動をする
- 海外に渡航し、イギリスに帰国する
- 永住権を申請する
スケールアップワーカービザでは、最初の6ヶ月間はスポンサーとなっている企業で仕事をするという制約があります。
ただ、6ヶ月後は自由度が高くなり、以下のことができるようになります。
- 仕事を続ける
- 内務省に断りなく仕事を変えたり、やめたりする
- フリーランスをする
ビザの延長は、資格要件を満たしている限り、3年単位で何度でも可能です。
延長については、スケールアップワーカービザの延長申請の要件の項目をご覧ください。
6ヶ月間はスポンサーとなっている仕事をするという約束なので、6ヶ月間で仕事を変えることはあまりないでしょう。
ただ、もしスポンサーシップを受けた仕事に就いてから6ヶ月の間に雇用主を変更したい場合は、ビザの更新が必要です。
更新には、もう一度同じように申請する手間と申請料金がかかるので注意しましょう。
スケールアップワーカービザでできないこと
スケールアップワーカービザでできないことは、以下の通りです。
- ほとんどの給付金(公的資金)、または州年金の受給申請
- スポーツコーチなど、プロのスポーツ選手として働くこと
スケールアップワーカービザも、できないことが少なく、最初の6ヶ月間を過ぎれば自由度が非常に高いといえます。
スケールアップワーカービザの延長申請の要件
スケールアップワーカービザの延長申請ができるのは、以下の場合です。
- スポンサーシップ証明書に記載されている業務に6ヶ月以上従事した場合
- 直近のビザでの滞在期間の半分以上において、収入要件を満たしていること
延長の際は、会社から新しいスポンサーシップ証明書を取得する必要はありません。
ここでの収入要件とは、「直近のスケールアップワーカービザの滞在期間の半分以上において、年間33,000ポンド以上にあたる月給を稼いでいること」です。
この収入要件は、2年後の場合と5年後の場合で違ってきます。
- 2年後にビザを延長:少なくとも12ヶ月間、年間£33,000相当となる月給が必要
- 5年後にビザを再延長:少なくとも2.5年間、年間33,000ポンド相当となる月給が必要
ここで注意したいのが、自営業(フリーランス)の収入は最低収入要件に含まれないということ。
理由は、申請者の給与がPAYE(Pay as You Earn)を通じて支払われていないことです。
そのため、もし延長を視野に入れているなら、6ヶ月後にフリーランスだけでやっていくことはできないでしょう。
延長したいなら、フリーランスがしたい場合も最初の2年間は副業としてフリーランスをすることになります。
ちなみに、複数の仕事の収入を収入要件に入れることができます。
ただし、以下の条件を満たす必要があります。
- 各職業で年間£33,000以上の月給を得ていること
- 一度に複数の仕事をしていた場合は、最も収入の多い給与のみを含めること
複数の仕事の収入を入れる場合は、このようにややこしくなります。
解決方法としては、移民専門の弁護士に相談するか、もしくは2年間待ってからフリーランスをするのも一つの方法です。
イギリスのフリーランスができるビザで必要なNHSサーチャージの金額
近年は、NHSサーチャージと言ってNHS(国民健康保険)の料金をビザの申請時に支払います。
2022年11月時点では、ビザの種類により金額が違うのでご注意ください。
- 学生ビザ・YMSビザ:年間470ポンド(2年間のビザなら940ポンド)
- 18歳未満で申請したビザおよび移民申請者:年間470ポンド
- その他のビザおよび移民申請者:年間624ポンド(5年ビザなら3,120ポンド)
この記事で紹介しているビザでは、YMSビザのみが年間470ポンド、そのほかは624ポンドとなります。
今では、このNHSサーチャージがビザの申請料金より高かったりします…
そして毎年のように上がっています。
ビザの申請には、NHSサーチャージも申請手数料も上がるものだと思って、必ず余裕を持って資金を準備しておきましょう。
ポンド以外の通貨で資金を準備している場合は、為替の影響もあるのでさらに余裕を持って準備してください。
イギリス移住にあたってかかるその他の費用については、イギリス移住費用完全まとめ!内訳・費用の節約方法も紹介をご覧ください。
ビザなしでの6ヶ月以下の滞在ならフリーランスは不可
日本人なら、イギリスには6ヶ月間ビザなしで滞在できます。
当然ではありますが、ビザなしで滞在する場合はフリーランスの活動はできません。
どこの国でも、就労にはビザが必要なのが普通です。
6ヶ月以下のビザなし滞在でできないことは以下の通りです。
- イギリスの企業やフリーランスで、有給か無給の仕事をする
- ワークプレイスメントやインターンシップを行う
- 一般消費者への直接販売、商品・サービスの提供
イギリスでのフリーランスについての読者の方からの質問
今回この記事を書いたきっかけである、読者の方からのご質問にお答えします。
イギリスのフリーランスビザの申請は日本から可能?
ご質問は以下の通りでした。
えみお
フリーランスビザの申請は、日本にいてもできるでしょうか?あるいは現地で行う形でしょうか?(取引先は全て日本の企業です)
まず、「フリーランスビザ」と呼ばれるものは存在しません。
正直なところ、イギリスは政府の方針としてもフリーランスに厳しい方向に向かっているように感じます。
このままだと、将来的にもフリーランス用のビザは作られないだろうと思います。
この記事であげた全てのビザは、日本にいながらでも、イギリスからでも申請できます。
取引先が日本の企業の場合は、正直なところ1年以上イギリスに滞在するかどうかで手続きが変わってくる可能性があります。
と言うのも、1年以上日本を離れる場合は日本の非居住者となりますが、1年以内の場合は居住者として日本に住民税や所得税を納めなければなりません。
私は弁護士でも会計士でもないので、個別のケースに合わせて回答することはできませんが、1年以上になる場合はそうした専門家に相談しましょう。
イギリスのフリーランスビザは、観光ビザで入国後に申請できる?
ご質問は以下の通りです。
えみねむ
フリーランスビザは、観光ビザで入国後に申請する流れで問題ないのでしょうか?(就労ビザを取っておく必要などはないでしょうか?)
先ほどと重なりますがフリーランスビザは存在しません。
また、個人的には観光ビザで入国後にビザの申請手続きをすることはおすすめしません。
他の国では、例えばドイツなどのようにそれが可能なこともあります。
イギリスの場合は、全てオンラインで申請できます。
申請後にバイオメトリックスといって生体認証(指紋と顔写真)のためにビザ申請所にいく必要はあります。
ただ、申請の前に確認してほしいのですが、生体認証は普通は国内で済ませられるはずです。
だとすると、フリーランスとして働く前に観光ビザで入国しても、ビザがおりなかった場合に無駄な時間、労力とお金を使うことになってしまいます。
日本でフリーランスとして働いてそのまま海外でもフリーランスとして働ける?
このご質問者の背景をお伝えするために、ご質問の該当する部分を引用します。
専門学校卒業後、2年間接骨院で働き来年3月に退職しその年の9月にイギリスに留学予定です。
職務的にフリーランスとして活動したいなと考えております。
ただ、退職後日本で少しフリーランスとして働いてから、渡英し現地で学生として大学で学びながら、フリーランスで仕事をしたいなと考えております。
「日本でフリーランスとして働いてそのまま海外でもフリーランスとして働く」こと自体はもちろん可能です。
日本のクライアントが多いのか、それともイギリス在住者を相手にフリーランスをするのでしょうか?
日本の顧客の場合は、イギリスでフリーランスの登録〜確定申告の手続きを写真付で解説を参考にしてください。
イギリスでフリーランスで働くために必要なこととは?
1つ前のご質問者と同じ方からのご質問です。
「イギリスでフリーランスで働くために必要なこと」について、手続きに関しては以下の2記事でおおよそカバーしています。
>> イギリスで起業する手続き【ワーホリビザ(YMS)でも可能】
>> イギリスでフリーランスの登録〜確定申告の手続きを写真付で解説
手続き以外で必要なこととしては、いろんなスキルや知識が挙げられます。
ざっと思いつく内容は、この通りです。
- 英語能力
- イギリス社会や文化への理解
- 公的制度への理解(法律や仕組み)
- 何度もしつこく食い下がる粘り強さ
- 言いたいことを丁寧に伝える能力
- 必要なら電話をし、長い待ち時間でも耐える能力
えみねむ
イギリスのクライアントを相手にしないから、私には関係ない
そう思われる方もいるでしょうが、例えばSole traderの登録などの公的な手続きは避けて通れません。
そこでは、非常に面倒なこともたくさん経験します。
まずは自分に関係のある分野からでもいいので、上記の項目を勉強することをおすすめします。
- 何度もしつこく食い下がる粘り強さ
- 言いたいことを丁寧に伝える能力
- 必要なら電話をし、長い待ち時間でも耐える能力
この3つの能力は、従順で対立を避ける日本人があまり持っていない可能性が高いからこそ、特筆しておきたいです。
イギリスでは、自分でやらなければ誰もやってくれないということを覚えておきましょう。
だからこそ、何度も食い下がって、自分の欲しいものが手に入るまで要求し続けなければなりません。
また、言いたいことを言わなければ欲しいものは手に入りません。
話の相手がちゃんとした人なら、丁寧に要求すればそれなりの敬意を持って対処してくれるはずです。
電話のオペレーターは、政府機関も民間企業も常に人手不足で、何十分も1時間以上も待つことがざらにあります。
私は、世界一周を始め、またイギリスに移住してから明らかにこの3つの能力が鍛えられました。
きついですが、人間として大きく成長します。
イギリスで学生をしながらフリーランスで働くことは可能?
1つ前のご質問者と同じ方からのご質問です。
残念ながら、イギリスの学生ビザではフリーランスとして仕事をすることは認められていません。
この記事でもお伝えしたとおり、記事執筆時点で4種類のビザでフリーランスが可能です。
学生ビザで働くのであれば、一定の時間までパートタイムで働けます。
留学することが優先なら、パートタイムでやりたい仕事を見つけるのも一つの方法です。
どうしてもフリーランスがしたいなら、学生ビザ以外の方法を検討しましょう。
>> イギリスに移住する方法とメリット・デメリット【完全保存版】
イギリスでフリーランスとアルバイトの掛け持ちは可能?
1つ前のご質問者と同じ方からのご質問です。
フリーランスとアルバイトの掛け持ち自体については、ビザの規定に反しない限り可能です。
例えば、YMSビザならフリーランスもアルバイト(パートタイム)も可能です。
このご質問者の場合は、学生ビザで滞在予定とのこと。
学生ビザで滞在する場合はフリーランスでの活動が認められていません。
ご質問者はまだ20代ということなので、YMSビザに挑戦してみるのはいかがでしょうか。
学校に通うことも、フリーランスをすることも、パートタイムで働くことも全部できますよ。
>> イギリスでフリーランスで働けるビザは全4種類!YMS以外も
現段階で可能なフリーランスなどで起業して働くルートには何がある?
具体的には、以下のご質問です。
現在のところ、イギリスの大学院でビジネス系の学びを1年間終えてから、卒業生ビザで働いたりして住み続けてようと計画しています。
(それ以外、私の年齢では方法が無いようでしたから。) しかしながら、
現段階で、フリーランスなどで起業して働くルートがあるのならば、
アドバイスを頂きたいと思います。よろしくお願いいたします。
ちなみに、現在は、日本でフローリストとして、自宅サロンで教えたりオーダーを受けて販売しているといった状況です。近年は半年は日本、半年はイギリス、といった形で滞在しています。今はロンドンに滞在中です。
ご質問者はYMSの対象外とのことです。
確かに大学院から卒業生ビザで働くのは一つの方法ですね。
フリーランスと起業(会社設立)、どちらをご希望ですか?
フリーランスでご質問者が取得できるビザは、おっしゃったように卒業生ビザかグローバルタレントビザのみかと思います。
卒業生ビザなら2年間(PhDを取得すれば3年間)フリーランスとして働きながら滞在できます。
ちなみに、卒業生ビザの前に必要な学生ビザでの滞在期間は、コース内容によって異なります。
1年未満のコースなら、学生ビザでの滞在期間が1年未満でもその後の卒業生ビザの対象となり得ます。
グローバルタレントビザは、フローリストでいらっしゃるということで、その世界で名が知れているなら可能性はあります。
技術がトップクラス、特定の賞を受賞している、業界に認識されているなどの自負があるなら、詳細を確認してみましょう。
フローリストとして起業できるビザとなると、少し難しいかと考えています。
というのも、イギリスで起業できるビザはYMS・スタートアップビザ・イノベータービザです。
スタートアップビザ・イノベータービザはいずれも革新的なアイデアと承認機関の承認が必要です。
イギリスでフリーランスができる方法は意外と多い
いかがでしたか?
イギリスは、他のヨーロッパの国などと比べると、フリーランスに優しいとはいえないかもしれません。
ただ、イギリスが好きな方、一度住んでみたいという方にはぜひ、イギリス在住者としてその良さを感じてもらいたいと思います。